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    ※韓国ドラマレビューブログ『若葉マークの韓国ドラマ日記』の別館になりました。それにともない「キリン」改め「マカ」でHNを統一いたします。
    ※お初の方は、まずカテゴリの『お断り&注意』をご一読ください

    ■1/7…
    대미CP更新しました。遅くなってゴメンなさい&今年もよろしくお願いします。

    ■この下に「創作BGM」として好きなK-POPを紹介しています。
    他サイトに飛びます。音量注意
    Sorry, Sorry Answer BY Super Junior
    ----------
    元の曲よりこっちが好き。今年は彼らの全員の名前を覚えることができるでしょうか:D


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夕方の雨(6)
2008 / 12 / 08 ( Mon )
 10月下旬。蒸し暑さの和らいだ、マカオが1番過ごしやすい時期だ。
 自転車に乗って額に受ける風も爽やかで、チェギョンは気分爽快、家路をたどる。

 今日は建築デザインの面白い本を見つけて、勉強がはかどったので余計に気分が良かった。彼女の口ずさむ、およそ今日の天気に似つかわしくないトロットがサビに入る頃、家の前にチェ尚宮の姿が見えてきた。首を伸ばして、どうやら妃宮の帰りを今か今かと待っているようだ。
 「オンニー!」
 チェギョンは大声で呼び、手を振った。
 「妃宮様!」
 「どうかしたの?」
 やや乱暴に自転車を止めたチェギョンは、もしや何か良くない知らせかと身構えた。しかしチェ尚宮は、まるで大好きなアイドルを目の前にした女子学生のように目を輝かせ、今にもその場で飛び跳ねそうだった。
 「なに?ロトでも当たった?」
 尚宮が賭け事をするわけないと知っていて、チェギョンは冗談を言ったが、チェ尚宮はそんな彼女の冗談をまるで無視した。
 とりあえず自転車を車庫にしまおうと、チェギョンがもう一度自転車のハンドルを握ったとき、チェ尚宮が言った。
 「お戻りになれるんです!」
 「え?」
 チェギョンは耳を疑って、動きを止めた。
 「妃宮様が、宮にお戻りになるんです」
 今度はゆっくりはっきり言われて、チェギョンにもその意味が理解できた。
 「本当に?でもなんでこんなに早く…」
 元老院が皇太弟妃の帰国は時期尚早と決めたと聞かされたのは1ヶ月と半分ほど前のことだ。いくらなんでも早いんじゃないかとチェギョンは思った。
 「詳しいことをお話しますから早く中へ」
 チェ尚宮に急かされたので、結局自転車はその場に残ることになった。

 
 チェギョンはリュックを背負ったままリビングのソファに座らされた。目の前にはノートパソコンが、もう準備万端!といった様子で待ち構えている。
 「オンニ」
 向かいに座ったチェ尚宮は姿勢を正し妃宮を見ていたが、彼女の呼びかけには返事をしない。
 「オンニ?」
 「妃宮様、正しくお呼びください」
 さっきは「オンニ」で返事したくせに。チェギョンは心の中でだけ文句を言ってみる。
 「チェ尚宮、このパソコンは?なに?」
 「はい。では順を追い説明いたしますので、まずはお聞きください」

 チェ尚宮の話はこうだった。
 先月の元老院の決定後、皇太弟シンは公の場で積極的に妃の帰国を求める発言をするようになり、国民の一部から離れ離れの若い夫婦への同情の声を聞くようになった。そこでシンはある勝負に出た。
 
 それが今月の初めのことだとチェ尚宮が言ったところで、チェギョンは思わず口を挟む。
 「なんで私に教えてくれなかったの?」
 シンが苦労しているのなら何もできなくても、せめて祈るくらいはと思うから、チェギョンは口をとがらせた。
 「申し訳ありません。ただ、この件に関しては妃宮様には報告しないよう殿下の指示があったので…」
 「シン君が?」
 「もし望ましい結果が得られなかった場合の妃宮様の落胆を見たくないからと、そうコン内官に仰ったそうです」
 チェギョンは黙る。尚宮はそんな妃宮の顔を見、続けた。
 「殿下は今月初め、皇室を特集したテレビ番組にお出になりました。生放送で妃宮様の帰国を国民にお呼びかけになったのです」

 そしてチェ尚宮はパソコンに手を伸ばし、あるファイルを立ち上げた。チェギョンはマウスを操るその指を、白くてきれいだと思う。

 しばらくして、画面には義父と義母の姿が映った。
 「お二方のご成婚25周年記念の番組だったのですが、殿下がご自分からお出になるとおっしゃったそうです。この映像は、妃宮にご覧いただくようにと陛下がお送りくださったものです」
 そこまで話すとチェ尚宮は黙った。チェギョンが既に映像に釘付けだったからだ。
 
 
 それは以前、皇太子夫妻が出演した番組と同じ形式のようだった。スタジオには老若男女の観覧者が集められ、義父義母、シンが彼らの前に司会者と共に座っている。
 司会者が丁寧に進行をする。カメラもまた丁寧にゆっくりとしたアングル切り替えで、皇族の姿を捉えていた。チェギョンはシンが映るたびにだんだんと身を乗り出して、しまいには奇妙な前傾姿勢になった。

 司会役のアナウンサーが言う。
 「最近の皇室には良くないことが多かったように思うのですが…お話いただける範囲でかまわないので、そのことについてお聞かせ願えますか?」
 その質問には、退位してからの静養のおかげで少し頬がふっくらとした義父が答えた。
 「確かに近年皇室には嵐が吹き荒れておりました。私の病状もその暴風を助長していたとも言えるので心苦しいのですが…私は嵐の後に訪れた今現在の平穏に満足しています。へミョン陛下が即位し、この国はより良い方へと進むと私は信じていますし、皇太弟がしっかり陛下を支えていくでしょう」
 司会者はその言葉に二度ほど頷いてから、次に皇太弟シンに向き直る。
 「では、今のお父上のお言葉を受けて、皇太弟殿下のお考えはいかがでしょうか」
 シンの上半身がアップになり、チェギョンはパソコンの前で身を硬くした。
 
 「父上の仰るとおり、今後の僕は陛下を支え国民の皆さんの笑顔をたくさん見ることが出来るよう、積極的に活動していくつもりでいます。それがこれまでの僕の過ちへの償いだと、そう思っています」 そこでカメラは観覧席を映した。年配女性が真剣な表情で皇太弟の言葉に耳を傾けている。
 シンの言葉はさらに続いた。
 「償いの終わりはきっと、どこにもないのだと思います。だから僕は皇族に名を連ねる者としての努めを、一生をかけて果たすつもりです」
 そうするべきだと思うから。そう言ったシンの横顔が大きく映し出され、チェギョンの喉元が熱くなった。
 「…しかし妃宮は違います。彼女は最初から何も間違ったことはしていません。思慮に欠けた行動があったことは本人も自覚しているでしょうが、今思えば…僕にとって、ですが物事の発端は、些細な心の揺れだったと、そう思います」

 「殿下、それでは貴方は妃宮を宮へ、呼び戻すべきだと、そう仰るのですね?」
 司会者が慎重に尋ね、シンはその問いに「はい」とはっきり答えた。











テーマ:韓国ドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ - カテゴリー:夕方の雨

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