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    ※韓国ドラマレビューブログ『若葉マークの韓国ドラマ日記』の別館になりました。それにともない「キリン」改め「マカ」でHNを統一いたします。
    ※お初の方は、まずカテゴリの『お断り&注意』をご一読ください

    ■1/7…
    대미CP更新しました。遅くなってゴメンなさい&今年もよろしくお願いします。

    ■この下に「創作BGM」として好きなK-POPを紹介しています。
    他サイトに飛びます。音量注意
    Sorry, Sorry Answer BY Super Junior
    ----------
    元の曲よりこっちが好き。今年は彼らの全員の名前を覚えることができるでしょうか:D


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夕方の雨(2)
2008 / 12 / 03 ( Wed )
 寝室のカーテンを開けると、午後の暑さを予想させる日差しが部屋に差し込んだ。チェギョンは両腕を天井に突き上げ、伸びをする。
 
 寝間着代わりのジャージの上着から、朝の挨拶とばかりに顔を出したおへそ。あごが外れそうな大きなあくび。チェ尚宮が見たら、さぞ嘆くであろう皇太弟妃の寝起き姿だ。
 時計の針は7時を少々まわったところで、チェギョンが尚宮に起こされず目を覚ますには、少し早い時刻だった。
 今ソウルは8時過ぎ…シン君も起きたころかな。今日も公務でいっぱいなのかな。
 時計を見るたびに、マイナス1時間の時差を考えるのが癖になっていた。

 「おはようございます。妃宮様」
 急に後ろから声をかけられ、チェギョンは慌てて腕を下ろした。
 「おはよう。オンニ」
 「…」
 尚宮は、たしなめるような視線で妃宮を見た。
 「おはようございます。チェ尚宮」
 「はい、おはようございます。妃宮様」
 尚宮はやっと、いつものように優しい笑みを浮かべた。
 このマカオで、チェギョンはチェ尚宮と2人暮らしだ。他の誰が聞いてるわけでもなく、家族に等しい存在だから、ここに来てからチェギョンはチェ尚宮を親愛をこめて「オンニ」と呼んでいた。それについて特に咎められたことはなかったが、シンが太皇太后を伴なってマカオを訪れた後、急にそれを禁じられてしまった。チェ尚宮曰く、「宮に戻る日もそれほど遠いことではなく、今から準備をしておいた方がよろしいかと」だったが、チェギョンには「それほど遠くない」という言葉がしっくりきていなかった。もうすでに長すぎるほど彼から離れている。

 「妃宮さま、顔を洗ってらしてください。朝食のご用意ができています」
 「はい、オンニ…じゃなかった、チェ尚宮」
 差し出されたタオルを受け取りつつ、チェギョンは心の中で「オンニ」と付け足した。

 


 「じゃあ、行ってくるね」
 「はい。お気をつけて」
 チェギョンはチェ尚宮に手を振って、自転車を漕ぎ出した。日差しの強いこの街ですっかり愛用になったつば広の帽子にめいっぱいの風を受けて、坂道を下る。
 慣れた図書館への道。
 チェギョンのここでの生活はシンプルで、午前中は図書館で自分のために勉強をし、午後は尚宮と、皇太弟妃としての勉強。時々、市内の病院や孤児院で手伝いをすることもあったが、それもチェギョンの意思があればということで、決して強制ではない。
 シンプルで自由。それがマカオでの生活だった。

 白い壁の図書館に着き、チェギョンは自転車を止めた。
 降りた途端に額に吹き出る汗をふきながら、憎らしいほどに照りつける太陽を睨んでみた。当然視界が真っ白になって、耐え切れず目を閉じた。瞼の裏の強烈な光をやり過ごしながら、ふと思う。
 目を開けたとき、あの時のようにシン君が道の向こうにいてくれたらいいのに。
 そんなことはあり得ないと知っていても願ってしまい、そのたびに苦しくなるのは正直馬鹿みたいだとも思う。それでもやっぱり、チェギョンはこの場所に自転車を止めるたび、道の向こうに彼の姿を望むのだ。




 午後の勉強を終えると、これも日課のようなティータイム。チェ尚宮が淹れてくれた紅茶と、チェギョンが図書館帰りに調達したおやつがテーブルに並んだ。
 「んー美味しい」
 勉強で疲れた体に、熱いお茶が染み渡る。いつもならここで、「図書館での勉強はどうでしたか?」とか「明日は病院の清掃のお手伝いに行きますか?」とか言うチェ尚宮が今日は、静かにお茶を飲んでいる。
 「オンニ」
 呼んでから、しまったと思いチェギョンは首をすくめたが、尚宮は叱るどころか「はい」と答えた。
 「なんでしょう。妃宮様」
 「…え、あの、なにかあった?」
 その質問に、尚宮はスと視線を伏せた。
 「…実は午前中、コン内官から電話がありました」
 チェギョンはティーカップをソーサーに下ろす。尚宮は言いにくそうに続けた。
 「昨日、元老院で妃宮様の帰国の件について話合いが行われたそうなんですが…」
 「…」
 「まだその時機ではないとの決定だったそうでございます」
 まるで自分が悪いことをしたような顔でチェ尚宮は言うので、チェギョンは努めて明るく「そう」と答えた。
 「そりゃそうだよ。ここに来て、まだ半年くらいだし。そんな簡単には許してくれないよ」
 言ってチェギョンはまたカップに口をつけた。
 「…しかし、結局は妃宮様には落度はなかったわけですから」
 「あったのよ」
 きっぱりとした妃宮の言葉に、チェ尚宮は弾かれたように頭を上げた。
 「私にも悪いところがあったの。法律に触れなくても、いけないことってあるでしょう」
 「……妃宮様、殿下が恋しくはありませんか?」
 それはちょっと反則な質問だよ、とチェギョンは思う。会いたいに決まっている。世界にたった1人の夫なのだ。
 「ここじゃ自由に電話もできないし、会いたいよ。シン君に会いたい」
 言いながら、チェギョンは少しだけ泣きそうになる。
 「…では、宮はどうですか?」
 「え?」
 「以前から気になっておりました。妃宮様、宮は恋しくはありませんか?」










テーマ:韓国ドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ - カテゴリー:夕方の雨

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