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    ※韓国ドラマレビューブログ『若葉マークの韓国ドラマ日記』の別館になりました。それにともない「キリン」改め「マカ」でHNを統一いたします。
    ※お初の方は、まずカテゴリの『お断り&注意』をご一読ください

    ■1/7…
    대미CP更新しました。遅くなってゴメンなさい&今年もよろしくお願いします。

    ■この下に「創作BGM」として好きなK-POPを紹介しています。
    他サイトに飛びます。音量注意
    Sorry, Sorry Answer BY Super Junior
    ----------
    元の曲よりこっちが好き。今年は彼らの全員の名前を覚えることができるでしょうか:D


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夕方の雨(10)完結
2008 / 12 / 14 ( Sun )
 シンは黙ってチェギョンの前に立ち、小さく息をついた。チェギョンはシンが怒ってるんじゃないかと、黙ってその目を見た。
 「皆が待ってる」

 声色は静かで。
 まるで独り言のようだったので、チェギョンは反応しそびれて「うん」とだけ答え、彼の次の言葉を待った。
 しかしギュッと唇を結んだシンは口を開かない。
 「シン君?」
 チェギョンは彫刻のように固まってしまった殿下の顔をのぞきこんだ。
 「ごめん。久しぶりの宮で迷子になっちゃって…」
 捜しに来てくれてありがとう、そう続けるつもりだったが、シンがそれ遮った。
 「いいから、行こう」
 言った途端シンは踵を返し、先に歩き出してしまう。

 やっぱり怒らせちゃった?チェギョンは不安と同時に不満だった。普段から仏頂面が多い彼ではあるけれど。
 久しぶりに会った妻には、笑顔でいいんじゃない?
 少し前を歩く広い背中に、あっかんべーと舌を出したら、気配を察知したシンが振り向いた。
 「シン・チェギョン」
 チェギョンは舌を引っ込めて知らんぷりをする。
 「早く歩け。陛下もお待ちなんだから」
 小さな子を叱るような言い聞かせモードの口調が妙に腹立たしい。
 「シン君」
 チェギョンはつかつかとシンに歩み寄って、真正面に仁王立ちになった。
 「なんだよ」
 チェギョンはなんだか憎たらしい(ような気がする)シンの頬を両手で挟んだ。そして指で両側に引っ張る。
 妃宮の急襲に防御が間に合わなかった殿下の顔は、それはそれは情けないものになった。皇太弟にこんな顔をさせたのは、きっと妃宮がはじめてだ。
 「シン君、本物?お面かぶってんじゃないでしょうね」
 言いながらチェギョンはぺたぺたとシンの顔を触って確かめる。
 「…」
 シンはまたもや黙ったまま、チェギョンの両腕を掴んで彼女の動きを制した。
 「おかえりって、言ってくれないの?」
 「…今話しかけるな」
 シンは少し赤くなった頬を擦りながら、怒りもせず、ぽつりと言う。

 せっかく会えたのに。もう誰にも邪魔されずにこうやって、お互いの顔を見て話せるのに。
 「なんで?私話したいこといっぱいあるんだよ」
 マカオでの生活がどんなだったか。楽しかったけれど、その何倍も離れているのが辛くて、1人の夜をどれほど長く感じたか。あの手紙を書いたときの気持ち。テレビでの告白を聞いたときの喜びも、全部聞いてほしい。
 今まで呼べなかった分、何度も彼の名前を呼びたかった。
 なのにシンはまた背を向けて歩き出そうとする。
 「ねぇ、シン君。シン君てば!」
 チェギョンはシンの態度の理由が知りたくて、彼のスーツの袖をつかんだ。
 「シン君。どうかしたの?なんかあった?」
 懇願するような妃宮の顔に、誇り高き殿下もついに白旗をあげた。

 「泣きそうだ」
 
 「え?」
 よく聞こえなくてチェギョンが聞き返すと、シンは苛立ったようだ。次は少し乱暴に言い放つ。
 「泣きそうだって言ってるんだ」
 だから話しかけるな。そう言ってシンは顔を背けた。
 
 「シン君。こっち見てよ」
 「いやだ」
 ますます頑固に背中を向けるので、やや強引に前に回りこむ。切れ長な目の端が確かに潤んでいるのを見て、チェギョンは満足した。
 「シン君」
 「あんまりシン君シン君て呼ぶな」
 「呼びたかったんだもん。ずーっと呼びたかったの」
 いいじゃない、とチェギョンは口をとがらせてみせた。
 「泣いてよ。せっかくだし」
 「…お前なぁ」
 涙も引っ込む、とシンは呟いた。
 「そう?私は今さら泣きそうなんだけど」
 
 車を降りて宮の屋根を見たとき。宮の門をくぐったときも、鏡の前で髪をいじってるときも実感がなかったんだと今は分かる。シンがこうして目の前にいて、彼の目が「会いたかった」と言ってくれている。そのことがやっとチェギョンに実感をくれた。
 「私、帰ってきたんだね」
 口にして、チェギョンは自分の瞼の裏側がやけるように熱くなっていくのを感じた。
 「ああ」
 「あ、まだ言ってなかった」
 チェギョンは頬にこぼれた涙を上等なスーツの袖で拭った。チェ尚宮が見たらさぞ苦い顔をするだろうな、と今は思わなかった。

 「シン君」
 「うん」
 「ただいま」

 大好き。
 少し眉をさげて、まだ涙を我慢する情けない顔のシンが今までで1番、愛しい。
 「ただいま」
 もう一度繰り返し、涙が止まらなくなったチェギョンをシンはそっと引き寄せて言う。

 「おかえり」
 
 チェギョンは、その声の優しく密やかな響きに、ますます涙が止まらなくなった。










?完?




テーマ:韓国ドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ - カテゴリー:夕方の雨

23 : 14 : 52 | トラックバック(0) | コメント(4) | page top↑
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コメント
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
by: * * * 2008/12/15 * 10:47 [ 編集] | top↑
--ありがとう~--

ども~失礼な書き出しですね!ごめんなさい<(_ _)>  1話目を読み思ったことは~地味そう~ <(_ _)>って。でも読み進むうち だ~っ!(**)!いいzzzzzzって一息に読み 続きが楽しみで待ちわびてましたよ~いや~胸きゅんでした。続編お待ちしてます。ややクサ気味ですが 「妻に恋してる ただのイ・シンです」たまんねエ~!0(^^)0
by: 美優 * - * URL * 2008/12/15 * 13:47 [ 編集] | top↑
--お返事遅くなりました><--

<美優さんへ>

こんばんは。はじめまして。
まずは読んいただきありがとうございます。
…地味。
あはは^^それ当たってますよ。私の文章は地味です。いきなり甘いシーンは書けないので、それまでを丁寧に書くようこころがけて、自分を盛り上げてからシンにクサい科白を言わせました。
新作も良かったら読んでくださいな。またまたクサい科白がでるかも、です。


<12/15 10:47の鍵コメさんへ >

こんばんわ。ご感想ありがとうございます。
私も「ありがとうございます」好きですよ~♪韓国語も好きで、1日耳にしないと寂しいので日本のニュースよりも韓国のニュースを見てしまいます(笑)
これからも書きますので!ぜひ、いらしてください。お待ちしています^^/
by: キリン * YInHV9pY * URL * 2008/12/18 * 20:58 [ 編集] | top↑
--承認待ちコメント--

このコメントは管理者の承認待ちです
by: * * * 2013/07/26 * 11:13 [ 編集] | top↑
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