FC2ブログ


全件表示TopRSSAdmin
information
    ※韓国ドラマレビューブログ『若葉マークの韓国ドラマ日記』の別館になりました。それにともない「キリン」改め「マカ」でHNを統一いたします。
    ※お初の方は、まずカテゴリの『お断り&注意』をご一読ください

    ■1/7…
    대미CP更新しました。遅くなってゴメンなさい&今年もよろしくお願いします。

    ■この下に「創作BGM」として好きなK-POPを紹介しています。
    他サイトに飛びます。音量注意
    Sorry, Sorry Answer BY Super Junior
    ----------
    元の曲よりこっちが好き。今年は彼らの全員の名前を覚えることができるでしょうか:D


スポンサーサイト
-- / -- / -- ( -- )
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


-- : -- : -- | | page top↑
夕方の雨(9)
2008 / 12 / 12 ( Fri )
 宮の古い石畳を踏んだ時。
 カツンと鳴ったヒールの音にさえ、懐かしくて胸がいっぱいになった。何十年もあけていた家に帰ったような気もするし、ずっとここにいたような気もする。そんな不思議な気持ちで、チェギョンは宮の雅な屋根と、塀に切り取られた空とを見上げた。
 「妃宮様、こちらへ」
 そう言ってチェギョンを促したチェ尚宮の久々の制服姿も、門前の護衛の山みたいな帽子も泣きたいくらいに懐かしい。
 「チェ尚宮オンニ」
 「はい、妃宮様」
 ただ呼んだだけなのに、チェ尚宮は美しいお辞儀をした。測ったようにいつも正確な角度だとからかうつもりで言ったことがあるが、見習い女官は本当に大きな分度器を当てて角度を測ると聞かされて辟易したことを、チェギョンは思い出した。
 それと同時に思う。
 
 やっぱりオンニは、宮中が似合う。
 
 「オンニ。ミニスカートも似合うけど、その制服を着てる時が1番キレイ」
 「ありがとうございます」とうつむいて照れた後で、チェ尚宮は言う。
 「妃宮様も今日は特別にお綺麗です」
 えへへ、と笑ったチェギョンは今日のために新調した明るいツイードのスーツを着ていた。
 「今から陛下に会うんだよね?」
 「左様です」
 「…そこにシン君もいる?」
 「もちろんです。お見えになっていると思います」
 チェギョンは前髪に手をやった。
 「オンニ。私どっかおかしいとこない?」
 妃宮の質問にチェ尚宮は微笑んだ。
 「ございませんよ」
 「ホント?鏡持ってる?」
 思い立つと急に落ち着きをなくすのがチェギョンの悪い癖で、それが時と場所を選ばないからもっとたちが悪い。
 「妃宮様、大丈夫です。ちゃんとしておられますよ」
 そんな言葉もまるで耳に入っていない。
 「オンニ、私ちょっと化粧室に行ってくる!1番近いのどこだっけ」
 「え、はい。あちらに…」
 いきなり訊かれて面食らったチェ尚宮がきちんと説明し終える前に、チェギョンは走りだした。
 「妃宮様!走ってはいけません」
 チェ尚宮は早足で後を追ったが、間に合ったかどうか。



 「んーこの前髪が…」
 自分で切るんじゃなかったと後悔しながら、チェギョンは鏡に顔を近づけた。
 右分け、左分け、真ん中分けにして。結局元通りにした前髪は眉毛の上できっちり揃っていて、まるで中学生のようだ。
 ジャケットのポケットに入れていたリップクリームを塗って、前髪を撫でつけながら化粧室のある建物を出て、我に返った。

 …ん?どっちから来たっけ?!
 
 どうやら建物に入ったときと違う所から出てしまったようだ。外の景色が微妙に違う気がする。目の前の銀杏の木も、さっき見たのより大きくて立派だ。
 宮の庭はどこも似ていて迷いやすいのは分かっていたのに不注意だった。
 辺りを見回すが、内官や女官の姿はない。
 チェギョンが少し歩くと、足元に落ちた黄色い葉がカサカサと乾いた音を立てた。チェ尚宮が聞いたら「今さら」と怒られそうだがチェギョンは呼んでみた。
 「オンニ??」
 返事はない。
 
 そのときだった。チェギョンの鼻に冷たいものが落ちた。
 さっきまで晴れていたのに空が急に雲に覆われて、あっという間に辺りが暗くなった。チェギョンが慌てて軒下に身を寄せるのとほぼ同時に、本格的に雨が降り出した。霧雨ではあるが、雨足は結構強くて、チェギョンはエナメルの靴を雨から庇うように引っ込め、なす術なく煙る景色を見つめる。

 しばらくして雨足が少し弱まって、雲の隙間から日が差し始めた。
 「天気雨だ」
 思わず呟いて、チェギョンは空を見上げた。
 変な天気だけど、すごく綺麗だ。
 夕方の温かい陽の光に、糸のような雨がキラキラと反射している。建物の古い瓦も濡れて黒く光り、銀杏の黄色をより美しく見せていた。

 宮ってこんなに綺麗なところだったんだ。
 
 そう思いながら、チェギョンは急な冷え込みに肩を震わせた。もう雨もほとんど止み、行かなくちゃ、と一歩踏み出したときだった。


 向こうから、背の高い人影がやってくる。
 眩しい日差し、もしくは雨を長い腕をひさしにして避けながら、周囲を見回している。
 
 シン君だ!
 
 チェギョンが声を出して彼を呼ぼうとしたときに、あちらもチェギョンを見つけたようだ。
 「シン君!」
 静かな宮の中庭に、チェギョンの声が響いた。


 夕方の雨が、寒さと一緒に彼を連れてきた。
 銀杏の葉と夕立が作った光る絨毯の上をまっすぐこちらへと歩いてくるシンを見て、チェギョンはそう思った。

















~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
妃宮様は落ち着きのないところが可愛い、と思うのですよ^^




テーマ:韓国ドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ - カテゴリー:夕方の雨

23 : 50 : 15 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
<<夕方の雨(10)完結 | ホーム | 夕方の雨(8)>>
コメント
--やっぱりらしいですね--

キリンさん、こんばんは。
たはりチェギョンらしいと言うか、さっそくやらかしましたね。
でも久しぶりの再会ですから、身だしなみには気を使いますよね。
チェギョンの見ている宮の景色が目に浮かぶようで、綺麗でしょうね、風情があって。
シン君見つけにきてくれました。やっと待ち焦がれていた人に会えました。
よっかた!あったかいシン君の胸に抱きしめてもらえれば
寒さも感じませんよね。
by: fu-tan * - * URL * 2008/12/13 * 21:18 [ 編集] | top↑
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバックURL
http://kirinnnn.blog8.fc2.com/tb.php/12-fe1e49f8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。